アイリーン・フェットマンさんへのインタビュー


 

 

Q: 「なぜ絵を描くようになったのですか」

 

 子供の頃から絵を描くことに情熱を持っていました。9歳の頃には何の疑問も無く画家になりたいと思っていました。1973年に当時旧ソヴィエトに四校あった権威ある正統的美術学校の一つであるシェヴチェンコ・アートアカデミーに入学することが出来ました。ここは5年制の学校で、何千もの願書から選抜された500人だけが受験を許され、実技の試験を受けます。そして100名の入学が許されるのです。

 ソヴィエトの美術学校では美術の基礎的な技術を確実に教えてくれました。しかしそれは同時に国家が要求する描き方であるリアリズムに奉仕するようにとの圧力でもありました。表現者の個性は抑圧され、色彩や表現方法の工夫は蔑ろにされました。

 その後イタリアへの亡命を経て、アメリカに渡り1980年にクリーブランド美術大学への入学許可を得ました。しかし、ソヴィエト時代の影響から逃れ、アートは何かに奉仕するためにあるのではないことが分かるまでに数年かかりました。一本の線や色彩がそれだけで新しい空間や表現を創造することができることを学びました。そして、美術には制限が無いことも知りました。クリーブランド美術大学での5年間の間に私の才能と作品は認められ、奨学金と数々の賞が与えられました。

 

Q: 「卒業後はどうされましたか」

 

 1987年に私はロサンゼルス移りました。ここで主人に出会い、1991年には息子が生まれました。カリフォルニアは素晴らしいところです。自然、太陽の光、広大な山々、そして広い海は私が子供の頃過ごした黒海での夏休みを思い出させます。そこは、亡命中に過ごしたイタリアも思い出させてくれます。どこまでも続く杉並木の道や丘、崖に建って海の中に飛び込むかのように目に映る家、テラスのオリーヴがたわわに実る赤い屋根の家などです。私の作品にはこのような思い出や心象風景が表現されています。 

 現在、私は家族と共にロサンゼルスの北に位置するマリブの美しい山の上に住み、自宅のスタジオで制作し、周囲のとても美しく魅力的な自然からいろんなことを学んでいます。

 

Q: 「アイリーンさんの作品の特徴を教えてください。」

 

 私の作品では特に、光や色彩、さらに「画面の感触」が重要です。どのように筆をキャンバスに触れさせるのか、どの方向に筆を動かすのか、どの程度の早さで、どれぐらいの筆圧をかければよいのかを考えます。そしてどのような色彩で表現すべきか……などの工夫が作品に光と風の動きを与えるのです。これらの様々な工夫が作品に命を吹き込みます。まるで絵の中にそよ風が吹いているかのように、描かれている風景が何時ごろなのかの判断もでき、さらに目で見ていながら音までが聞こえるかのように、いろんな自然の印象を感受できる画面を作ってくれるのです。